インデックスファンドを購入するなら、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」よりニッセイアセットの「購入・換金手数料なしシリーズ」の方がいいと思う理由

購入者目線に立てば、投資信託の購入・保有にかかる費用は安い方がいいに決まっています。僅か1%の信託報酬の違いが、将来の運用パフォーマンスの大きな違いになるからです。最近では、販売手数料ゼロのノーロード投信も増えてきましたが、信託報酬を含むトータルのコスト抑制に真正面から取り組んでいる運用会社は僅かしかありません。今回は、低コストのインデックスファンドの運用で定評のあるニッセイアセットマネジメント株式会社の「購入・換金手数料なしシリーズ」と三菱UFJ国際投信株式会社の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」を取り上げてみようと思います。

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サービスのご紹介

ニッセイアセットマネジメントの「購入・換金手数料なしシリーズ」も、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」も、どちらも販売手数料ゼロのノーロードファンドとして、低コストで様々なインデックスファンドを提供しているサービスです。

商品ラインナップの比較

取り扱い商品数は次のとおり「購入・換金手数料なしシリーズ」が12、「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」が10となっています。(2018年7月現在)

ニッセイアセットマネジメント 三菱UFJ国際投信
サービス名 購入・換金手数料なしシリーズ eMAXIS Slim
国内株式(TOPIX)
国内株式(日経平均)
国内株式(JPX400)
国内債券
外国株式(全世界除く日本)
外国株式(先進国)
外国株式(米国)
外国株式(3地域均等型)
外国株式(新興国)
外国債券
国内REIT
海外REIT
バランス型(4資産)
バランス型(6資産)
バランス型(8資産)

どちらも、伝統的な4資産(国内株式、国内債券、外国株式、外国債券)とそれらを組み合わせたバランス型のインデックスファンドをラインナップとして揃えています。

ただ、「eMAXIS Slim」の商品ラインナップには、内外REITがない、バランス型ファンドの選択肢が1種類しかない等、「購入・換金手数料なしシリーズ」と比べると中途半端な感が否めません。商品ラインナップではニッセイアセットの「購入・換金手数料なしシリーズ」に分がありそうです。

費用の比較

ここでは信託報酬率(税抜)の比較を行いました。対象商品は、両社でラインナップのある次の7商品です。(2018年7月現在)

ニッセイアセットマネジメント 三菱UFJ国際投信
サービス名 購入・換金手数料なしシリーズ eMAXIS Slim
国内株式(TOPIX) 0.159% 0.159%
国内株式(日経平均) 0.169% 0.159%
国内債券 0.139% 0.139%
外国株式(全世界除く日本) 0.189% 0.109%
外国株式(新興国) 0.189% 0.189%
外国債券 0.170% 0.170%
バランス型(8資産) 0.209% 0.159%

三菱UFJ国際投信株式会社の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」の方が、ニッセイアセットマネジメント株式会社の「購入・換金手数料なしシリーズ」よりも、全般的に信託報酬率が設定されています。これは偶然ではなく「eMAXIS Slim」の次の方針が背景にありそうです。

多くの方に資産形成ツールとして、よりお役立ていただけるよう、イーマクシススリムは、業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざします出所:三菱UFJ国際投信ウェブサイトより

費用面では明らかに、三菱UFJ国際投信が、ニッセイアセットと比べて優れていると言えます。ただ、どちらも長期の資産運用向きの低コストファンドであり、運用残高の増加とともに継続的に信託報酬率の引き下げを実施しているため、数カ月先は優劣が変わるかもしれません。

三菱UFJ国際投信よりニッセイアセットの方がいいと思う理由

さて、本題に入ります。2社のサービスを商品のラインナップと費用について比較しました。

商品のラインナップにおいて、ニッセイアセットの「購入・換金手数料なしシリーズ」に分があり、費用については三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」に分があることを述べました。

ではなぜ、三菱UFJ国際投信より、ニッセイアセットの方がいいのでしょうか。

それは、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」の商品は、そもそも評価以前に、重大な問題があるからです。それは、ベンチマークに「配当込み指数」ではなく、「配当無し指数」を設定していることです。

ベンチマークの比較

ニッセイアセットマネジメント 三菱UFJ国際投信
サービス名 購入・換金手数料なしシリーズ eMAXIS Slim
国内株式(TOPIX) TOPIX(配当込み) TOPIX(配当なし)
国内株式(日経平均) 日経平均(配当込み) 日経平均(配当なし)

三菱UFJ国際投信が行っている「配当なしのベンチマークを顧客に提示する」のは姑息な行為です。理由はこのページで解説しているとおりです。

そのベンチマークは配当が考慮されていますか

プロの運用会社が、素人の投資家に対して、このような行為を行い続けているのは信じがたい状況です。これで顧客本位といえるでしょうか。

三菱UFJ国際投信に限らず、日本の多くの運用会社が、ベンチマークとして、プロ向けには「配当込み指数」を素人向けの公募投資信託では「配当なし指数」を設定する2重基準が横行しています。プロは騙せないが、馬鹿な素人はだませると考えてのことでしょう。こうした明らかに不適切な行為を「赤信号みんなで渡れば怖くない」というノリで続けているのが日本の資産運用業界です。

まとめ

ニッセイアセットマネジメント株式会社の「購入・換金手数料なしシリーズ」と、三菱UFJ国際投信株式会社の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」は、他の運用会社の同類のインデックスファンドよりも、2歩も3歩を先を行く投資信託と言えます。

面白いのが2社とも、これまでインデックス運用をウリにしてきた会社ではないということです。薄利多売のインデックス運用においては先行者に圧倒的なメリットがあります。インデックス運用で先行する信託銀行を差し置いて、何もないところから、よくぞここまで低コストの商品提供にこぎつけたなという印象です。あっぱれです。これからも2社が競争しながら、ともに残高を増やし、将来的には世界でも通用できる(バンガードに対抗しうる)レベルのインデックスファンドに成長することを期待しています。

ただ、残念なのは三菱UFJ国際投信です。「eMAXISSlim(イーマクシススリム)」にあるTOPIX型や日経平均型のインデックスファンドは、ベンチマークに「配当込み指数」ではなく、敢えて「配当なし指数」設定しています。配当なし指数をベンチマークとして投資信託を評価するのは、6年生の児童の身長を4年生の児童の平均値と比べて評価するようなものです。世界に恥ずべき行為です。業界の慣習だから、他社もやっているから、許されると思っているのでしょうか。

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