楽天投信VTIとバンガードVTI(ETF)は、どっちが得か?

楽天投信VTIは、バンガードVTI(ETF)に投資する投資信託です。「楽天投信VTI」に投資する方がいいのか、購入手数料はかかるけれどランニングコストの安い「バンガードVTI」に投資する方がいいのか、多くの投資家にとっては悩ましい問題です。

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きっかけ

当サイトをご覧いただいた方から次のような質問をいただきました。

楽天投信VTIとバンガードVTI(ETF)、どっちが得か

米バンガードをSBI買い付けしようとしているのですが、「10万円以上でないと手数料的に不利で、10万円以下で毎月積立なら円建てで楽天投信VTIに積み立てたほうが良い」というアドバイスを知人から受けました。

その理由を詳しく知りたくて、こちらの提供されているシュミレーションで比較しようとしたのですが、入力すべき各要素が分からず、先に進めない状態です。どうすれば、解明できるでしょうか?

ネットで検索すると、この2つの比較記事がたくさんあることに驚きました。多くの人が関心を持っている話題なので、今回は、この問い合わせに対する回答を記事にしたいと思います。

質問

いただいた質問は、「省エネ・エアコンの買い替え」に置き換えて考えると、答えがイメージできそうです。

「今のエアコンを使い続けるか、電気代の安い省エネ・エアコンに買い替えるべきか」という質問に対する答えは「初期費用はかかるけど、買い替えた方が、長い目で見たら電気代が節約になるので得ですよ。」ということになります。

本題の質問は「初期費用はかからないけれどランニングコストが相対的に高い楽天投信VTI」と「初期費用(買付手数料)はかかるが、ランニングコストが安いバンガードVTI」とではどちらが得ですか。というもので、

その答えは「初期費用はかかるけれど、投資期間が一定期間以上ならば、ランニングコストの安いバンガードVTIが得ですよ。」ということになります。

シミュレーションについて

シミュレーションの前提条件は次のとおりです。なお、設定条件の詳細は、ページ末尾の「Appdendix:補足説明」をご覧ください。

  • バンガードVTIの買付手数料は、売買代金の0.45%(最高20ドル、最低5ドル)、為替手数料は、1ドル当たり4銭(1ドル100円を想定した場合、売買代金の0.04%)を想定。
  • 楽天投信VTIのランニングコストは、0.26%/年を想定(信託報酬0.12%/年+VTIの経費率0.04%/年+その他費用0.10%/年)
  • 為替レートは、1ドル100円(投資期間中、不変)として計算。
  • 期待収益率(費用・税金控除前)は、楽天投信VTI、バンガードVTIともに6%/年を想定。

買付手数料率

バンガードVTIの買付手数料率は、下記のとおり、購入金額によって変わります。

楽天投信VTIバンガードVTI
5万円を投資する場合0%1.04%
10万円を投資する場合0%0.54%
20万円を投資する場合0%0.49%
50万円を投資する場合0%0.44%
100万円を投資する場合0%0.24%

ランニング費用

楽天投信VTIバンガードVTI
信託報酬率0.12%/年0.00%/年
その他費用0.14%/年0.04%/年
合計0.26%/年0.04%/年

シミュレーション結果(費用・税金控除後)

次の3つのシミュレーション結果は、費用・税金控除前の期待収益率を6%/年と仮定して計算した結果です。

毎月5万円を10年間積立投資した場合

楽天投信VTIバンガードVTI
総投資額600万円600万円0万円
値上がり益217万円216万円1万円
支払い費用-52万円-50万円-2万円
最終運用資産額765万円766万円-1万円
投資損益165万円166万円-1万円

総額で600万円投資した結果、10年後の運用資産額の差は、バンガードVTIが楽天投信VTIよりも、1万円得という結果になりました。

この差は、実質的には計算上の誤差の範囲内といえます。すなわち、どちらに投資しても、実質的には、どっちが得とか損とかはないと言えます。

参考:シミュレーション結果詳細(毎月5万円を10年間積立投資した場合)

毎月5万円を20年間積立投資した場合

もっと長い期間、例えば20年投資したら、ランニングコストの安いバンガードVTIの方がもっとお得になるはずです。では、この場合、楽天投信VTIと比べて、どのくらい得になるのかも検証しました。

楽天投信VTIバンガードVTI
総投資額1,200万円1,200万円0万円
値上がり益1,070万円1,077万円-8万円
支払い費用-257万円-235万円-21万円
最終運用資産額2,013万円2,042万円-29万円
投資損益813万円842万円-29万円

投資期間を倍の20年間にすると、最終的な運用資産額の差は大きくなり、バンガードVTIが楽天投信VTIよりも29万円得という結果になりました。

実額ではそれなりの差が出ていますが、ただ、総額で1,200万円を投資した場合のということを考慮すると、この差も計算上の誤差の範囲内といえます。この解釈については異論もあるかと思いますが、私は、この場合でも、実質的には、どっちが得とか損とかはないと考えます。

参考:シミュレーション結果詳細(毎月5万円を20年間積立投資した場合)

毎月2万円を10年間積立投資した場合

最後に、毎月の積立金額が5万円ではなく、2万円の場合の検証を行いました。バンガードVTIの購入手数料率は、購入金額が5万円の場合は1.04%でしたが、購入金額が2万円の場合は2.54%になります。購入手数料率が上がる分、「バンガードVTI」の優位性は低下すると思われますが、結果は次のとおりです。

楽天投信VTIバンガードVTI
総投資額240万円240万円0万円
値上がり益87万円85万円2万円
支払い費用-21万円-23万円2万円
最終運用資産額306万円302万円4万円
投資損益66万円62万円4万円

今度は一転して「楽天投信VTI」のほうが、「バンガードVTI」よりも得という結果になりました。「バンガードVTI」は投資額2万円程度だと、高い購入手数料率がネックとなることがわかります。ただ、総額で240万円投資して、10年間の累積の差が4万円なので、実質的な差はないと考えられます。

なお、「バンガードVTI」は1株あたりの購入金額が約15,000円(2018年10月末時点)なので、少額の投資をお考えなら「楽天投信VTI」の購入一択となります。

ちなみに、同じケースで、投資期間20年としてシミュレーションすると、「楽天投信VTI」と「バンガードVTI」の差は、ほぼゼロになりました。

参考:シミュレーション結果詳細(毎月2万円を10年間積立投資した場合)

まとめ

毎月5万円の積立投資を前提にすると、投資期間が10年でも20年でも、「楽天投信VTI」と「バンガードVTI(ETF)」の投資結果(各種費用、税金控除後)に実質的な差はありません。

毎月2万円の積立投資を前提にすると、「バンガードVTI」は購入手数料率が2.54%かかるので、10年間の積立投資では「楽天投信VTI」の方が若干の得になります。ただ、その場合でも、差は小さく、実質的には差がないレベルです。

「バンガードVTI」の経費率は脅威の0.04%です。購入手数料はかかるものの、長期投資を目指す投資家にとって素晴らしい投資対象の1つです。一方「楽天投信VTI」は実質コストで約0.26%/年のコストがかかりので「バンガードVTI」の0.04%と比べると高い印象を持たれるかもしれません。でも実際には、購入手数料の違いや税金の支払い等を総合的に考慮すると、運用結果に実質的な差はほとんどなく、少額投資では10年間の長期運用でも「楽天投信VTI」の方が、むしろ得となるケースもありました。

最初に想定した答え「長期で投資すればするほど、ランニングコストの安い、バンガードVTIの方が得」は、確かにそのとおりではあるけれど、10年、20年での長期投資でも結果に実質的な差がなかったことを考えれば、実は間違いだったとも言えます。

「楽天投信VTI」と「バンガードVTI(ETF)」を比較しましたが、どちらも長期投資向きの低コスト商品でと断言できます。優劣の違いは、ほんとに僅かで、実質的にはどちらを選んでも結果に大きな差はないでしょう。どちらも、長期の資産運用を目的とする投資家にお勧めできる商品です。

シミュレーション結果の詳細をご覧いただくとわかりますが、(プラスの期待収益率を前提にシミュレーションした場合)、費用の大部分は「税金」が占めることになります。NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)の制度を利用すれば、さらに有利な運用が期待できるでしょう。

Appendix: 補足説明

シミュレーションの前提条件について

楽天投信VTIの実質コストは

楽天投信VTIは、その他費用として、0.14%を考慮(投資対象ETFであるVTIの経費率0.04%に、売買委託手数料や印刷費用等の諸々の費用0.10%を加えた費用)。0.10%は運用報告書に掲載されている費用を参考に「少なくともこれぐらいはかかるであろう」と推測した数値です。実際は、これ以上の費用がかかる可能性があるとも考えていますが、多めに見積もりすぎるのもミスリードさせてしまうので、最低限かかりそうなコスト水準を設定しています。

なぜ為替レートを1ドル100円と想定しているのですか?

過去20年間(2018年11月現在)の円ドルレートは概ね80円から120円のレンジで動いていて、平均値が約100円だったからです。100円だと切りがよくて計算が簡単になるのもそうした理由の1つです。それ以上の深い意味はありません。なお、計算を簡略化する為に、シミュレーション期間、為替レートは変化せず、一定と仮定することにします。

バンガードVTI(ETF)の売却時の売買手数料は考慮していますか?

シミュレーションでは考慮していません。バンガードVTIを売却する時は、実際には売却手数料(最大20ドルの売買手数料と、売却代金に対する為替手数料0.04%の合計額)がかかります。

バンガードVTI(ETF)の分配金にかかる米国現地に支払う税金は考慮していますか?

考慮していません。分配金は非課税で全額再投資される前提でシミュレーションを行っています。

バンガードVTIに直接投資する場合の買付手数料率について

SBI証券でバンガードVTIに直接投資する場合、購入時に販売手数料と為替手数料を支払う必要があります。販売手数料は、売買代金の0.45%(ただし、最高20ドル、最低5ドル)、為替手数料は4銭です。(2018年10月末現在)

例えば2万円(200ドル)を投資する場合、その0.45%は0.90ドル(90円)なので、販売手数料は最低水準の5ドル(500円)となります。投資額200ドル(2万円)に対する比率は、5%です。これに為替手数料4銭(投資額に対する比率は0.04%)が加わり、買付時の手数料は、併せて2.54%(税抜)となります。

バンガードVTIに直接投資する場合(SBI証券の利用を前提)、買付金額別の手数料率(買付金額に対する比率)は以下のとおりです。

買付金額
楽天投信VTIバンガードVTI
1万円0%5.04%
2万円0%2.54%
3万円0%1.71%
4万円0%1.29%
5万円0%1.04%
10万円0%0.54%
20万円0%0.49%
30万円0%0.49%
40万円0%0.49%
50万円0%0.44%
100万円0%0.24%
200万円0%0.14%
300万円0%0.11%
1000万円0%0.06%

前提条件の異なるシミュレーションについて

その他の前提条件でシミュレーションした結果はこちらをご参照ください。

費用・税金控除前の期待収益率が0%の場合

一括投資の場合

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