重要なのに正しく理解されていない投資信託の費用をはじめ、売り手の都合で開示されない投資信託の仕組み等をお伝えします。
支払い費用の総額を知る
投資信託の効果と費用
投資信託を選ぶ場合も費用対効果を考えることが大切です。
投資信託の効果については、運用会社や販売会社のホームページで詳しく説明されているので、そちらを参考にしてください。
ところが、費用については、ほとんどの場合、専門用語が解説されているだけで、最後にこう言い切っておしまいです。
手数料等の合計額については、保有期間等に応じて異なりますので、あらかじめ表示することができません。
これでは、投資信託の購入者は、費用を総額でいくら支払う必要があるのか、見当をつけることができません。
費用の実額を知る
では、こう開示してあったらどうでしょうか。
この投資信託に100万円を投資して、10年間保有した場合、支払い費用の総額は約28万円になります。(※)
※ 国内株式型の投資信託を想定して算出した概算値。実際の費用は、運用実績や投資金額、保有期間等に応じて異なります。
費用の説明として「ファンドの純資産額に対して、年率1.7%の費用が、信託財産から日割りで引かれます。」と解説されてもピンときませんが、目安であっても費用が実額で示されれば、投資家の理解は飛躍的に高まるはずです。
費用を考慮したシミュレーション
次のグラフは、費用の異なる2つの投資信託に、それぞれ100万円を投資した場合のシミュレーション結果です。費用の影響を示すために、費用がかからないと仮定した場合の結果(灰色の線)も掲載しています。
※ 3つのファンドは、費用の前提が異なるだけで、どれも同じ期待収益率とリスクを想定して計算しています。
費用がかからないと仮定した場合(灰色の線)、10年後の資産価値は125万円になりますが、費用を考慮したファンドA(赤色の線)とファンドB(青色の線)は、それぞれ97万円と117万円になります。
費用ゼロの場合との差が、それぞれのファンドで投資家が支払う費用の総額にあたり、ファンドAにかかる費用は▲28万円、ファンドBにかかる費用は▲8万円となります。
将来の投資損益を改善する方法
冒頭に「費用対効果を考えることが大切」と書きましたが、そもそも投資の世界において、事前の期待(効果)こそあてにならないものはありません。運良く最初から上昇相場に乗れることがあれば、逆に、予期せぬ暴落や長期の相場低迷にあたることもあるからです。「勝負は時の運」と割り切れば、効果をあれこれ考えても仕方ないとも言えます。
一方、投資信託の費用は、違います。あらかじめ算出方法が決められているため、事前に支払い金額の概算を知ることができます。
費用の違いは、投資期間が長ければ長いほど、将来の投資結果に大きな影響を及ぼします。
すなわち、同じ効果が期待できるなら、費用が低いファンドBを選択することで、将来の投資損益を大きく改善できるということです。
残念ながら巷には、金融のプロなら絶対に買わない劣悪な投資信託があふれています。銀行や証券会社の販売員の口車に乗って、割高な投資信託をつかまされないようご注意ください。
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シミュレーション
投資信託の運用シミュレーションです。買付手数料、信託報酬などの各種手数料や税金など、投資信託の購入者が負担する全ての費用を考慮した上で、最終的に運用資産額がいくらになるかがわかります。
ファンド費用分析
実際の投資信託を対象に、投資家が負担する費用の総額を実額で示します。
コラム
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