さわかみファンドは、さわかみ投信が運用する国内株式型の投資信託です。割安株への長期投資を運用方針としています。この投資信託を元本100万円で購入した場合、10年間で支払う費用の総額は10万5,105円になります。
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目次
ファンド概要
記載内容は2017年12月末時点の分析・評価です。最新情報は運用会社のウェブサイトでご確認ください。
さわかみファンドの特徴は以下のとおりです。
- さわかみ投信が運用する唯一のファンド
- 国内株式型のアクティブ運用
- ベンチマークを設定していない
- 運用担当者は草刈貴弘氏(2013年-)
- 運用方針は割安株への長期投資
- 高い現金比率を許容
費用の総額
この投資信託を元本100万円で購入した場合、10年間の支払い費用の総額は10万5,105円になります。
さわかみファンド | ニッセイTOPIXインデックスファンド | |
費用の総額 | 105,105円 | 23,161円 |
同じ国内株式に投資するインデックスファンド(ニッセイTOPIXインデックスファンド)の費用総額は2万3,161円です。したがって、この投資信託は、同タイプのインデックスファンドと比べて、10年間で8万円以上の多額の費用を支払うことになります。
※ なお、支払い費用の算出にあたって、費用控除前の期待収益率をゼロとして計算しています。詳しい設定条件はこの記事末尾の「シミュレーション詳細」からご確認ください。
購入検討時の留意点
割高な費用
同じ国内株式に投資する投資信託で、支払費用が半分以下のファンドがあります。割高な費用を払ってまで、敢えてこの投資信託を買う理由があるかお考えください。
短期間で運用担当者が交替
運用担当者がさわかみ投信の創設者である澤上篤人氏から、息子の澤上龍氏へ、そして2013年に草刈貴弘氏に短期間で交代しています。なぜ運用担当者を世襲で決めたのか、そしてその後すぐ草刈氏に交替したのか、経緯が不透明で不可解です。投資銘柄数も運用担当者が変わるたびに大きく変化しており、運用哲学・運用方針の一貫性に疑念を持たざる得ません。
運用目標と投資行動とが不整合
「絶対リターンの追求」を運用目標としていますが、実際の投資行動は国内株式と現金を保有しているだけで、実体は、高い現金比率を許容する「国内株式型のアクティブ運用」にすぎません。
過去の運用実績も概ね国内株式相場と連動して動いているだけで「絶対リターン」は絵にかいた餅です。パフォーマンスは、現金を保有している分、株式市場の上昇局面では市場平均を下回り、株式市場の下落局面では市場平均を上回る特性があります。
運用結果の説明責任を放棄
運用会社も公言していますが、このファンドの運用戦略の最大の特徴は「株式と現金の組入比率の調整」にあります。しかしながら、この戦略がうまくいったか否かについてきちんと説明をしていません。投資哲学は雄弁に語る一方で、「長期投資」を隠れ蓑に結果に対する説明責任を放棄しています。
過去の現金比率を見ると、、常に投資行動が相場の後追いとなっており、相場が下落した後で現金比率を高め(株式の組入比率を引き下げ)、相場が上昇した後に現金比率を下げて(株式の組入比率を引き上げて)ているようです。投資判断の誤りを素直に認めない限り、運用パフォーマンスの向上は期待できないでしょう。
ベンチマークを設定していない
ベンチマークを「適切なベンチマークがない」、「絶対リターンを追求しているから」という理由で設定していません。適切なベンチマークがなければ、適切なベンチマークを作ればいいだけの話です。他の真っ当なファンドは、絶対リターンを運用目標とする場合、きちんと短期金利指数(例えばMRF等)をベンチマークに設定しています。ベンチマークがなければ、投資家は運用結果をどんぶり勘定でしか評価することができません。そもそも運用会社内部において、運用実績の分析・評価(運用担当者の評価)がまともに行なわれていないのかもしれません。
大言壮語の運用戦略
「アセットアロケーション(資産配分)が最大の武器」と公言していますが、実際の投資行動は国内株式に投資しているだけで、その他は、現金比率を僅かばかり変動させている程度です。これで「最大の武器」や「ダイナミックな資産配分」と宣伝するのは大言壮語です。
運用開始以来、一度も海外資産に投資していませんが、その理由を「円が安いから」と説明しています。新興国を含む全ての通貨に対してなぜ円が安いと考えるのでしょうか。投資根拠に具体性がなく意味不明、不透明です。運用体制を見るに、そもそも海外資産に投資する運用能力や事務管理能力を備えているのか疑問です。機が出た場合に本当に投資を実行できるのでしょうか。
まとめ
さわかみファンドはさわかみ投信が運用する国内株式型のアクティブファンドです。2013年から草刈氏が運用を担当しています。
運用目標の「絶対リターンの追求」は絵に描いた餅で、実際のパフォーマンスは株式市場全体の動きに連動しているだけです。投資哲学は雄弁に語られますが「長期投資」を隠れ蓑に運用結果の説明責任を放棄しておりベンチマークすら設定していません。
こうした多くの懸念材料があっても、これまではファンド創始者のカリスマ性が優っていました。しかし、世襲で息子が社長となり運用担当者が交代した今、このファンドを積極的に評価すべき理由が見出しにくい状況にあります。運用担当者が変わる度に投資銘柄数が大きく変わっており運用方針の一貫性にも疑念を持たざる得ません。
結論:多くの懸念材料があり、割高な費用を支払ってまで買うべき積極的な理由が見出しがたいと考えます。したがって、当サイトとしては、この投資信託への投資はお勧めしません。
ご参考:費用算出の前提条件や、費用の項目別・支払先別内訳等の結果詳細は、「シミュレーション詳細」をご覧ください。
シミュレーション詳細